当会では、植物防疫分野の発展に優れた人材を送る目的で、大学に在籍する植物防疫専攻者の中から優秀な者若干名に対し育英費を支給して修学を援助する事業を行っています。

育英生の就職状況

当会の育英費を受けた学生の動向は以下のとおりとなっています。

2021年(令和3年)12月に育英生の就職状況を調査(対象は令和2年度から平成27年度の6年間)しました。その結果、対象者18名のうち15名から回答を頂きました。これを見ると、多くの学生が植物防疫分野に関係するところに就職し、ご活躍されています。

  • 大学等教職員・研究員 4名
  • 農薬会社 4名
  • 農研機構、県庁等公務員 3名
  • 種苗会社等農業関係会社 3名、他1名  計15名

育英費受給者からメッセージを頂いています。

令和3年度育英費受給者    就職先:一般社団法人日本植物防疫協会

大学院生の時に研究室の教授から報農会の給付型育英費制度について教えていただき、給付型はありがたいと思い申請しました。
学部生の時から学費および生活費を貸与型奨学金とアルバイト代で賄っていました。修士2年生の時に給付を受けたことによって、アルバイトの勤務時間を減らし植物病理学の研究に専念できました。また、就職活動にも専念でき、専門が生かせる仕事に就くことができました。
現在、日本植物防疫協会に就職し、茨城研究所で新農薬実用化試験の病害試験を担当しています。具体的には、依頼メーカーが農薬登録申請する際に必要となるほ場での薬効薬害試験のデータを作成しています。作成したデータは、登録のみならず農業現場での病害虫防除における農薬の有効な使い方の基礎資料となるため、非常に重要かつやりがいのある仕事です。質の高い試験を行うために、学生時代に培った専門を生かしながら仕事に励んでいきたいと思います。

令和5年度育英費受給者    就職先: 農林水産省 (総合職農業技術系)

私は修士課程に進学するにあたって、報農会の給付型育英費制度があることを指導教員経由で知り申請するに至りました。私は日本の農業振興に資する仕事に就きたいと思っていたのに加えて、修士課程において自身の感性を活かした独創性の高い研究を行い植物病理学分野の発展に貢献したいと思っておりました。報農会育英費の給付を受けて研究に専念できたおかげで、無病徴感染性ウイルス由来の植物ウイルス集団から、全身感染可能な新たな宿主植物を獲得した変異株や病原性が激化した変異株を単離することができました。今後、植物ウイルスのスピルオーバーや新たなウイルス病害出現の根底にある仕組みが明らかとなることを期待しています。
私は、修士課程修了後は農林水産省に入省する予定です。今後は、植物病理学分野におけるこれまでの学びを存分に発揮して、日本の農業の将来を見据えながら仕事に励んでいきたいと考えております。

令和5年度育英費受給者    就職先:日本政策金融公庫農林水産部

私の祖父母は農業を営んでおり、私も農作業を手伝うことが多くありました。あるとき、圃場でイチゴの炭疽病が発生し、苗木が次々と枯れてしまいました。祖父母が多大な労力をかけて育てた植物が、病害によって出荷できなくなる悲しみや失望感は あまりに大きいものでした。このことが契機となり、植物の病害を防ぐ技術を学び、発展させたいと考え、大学では植物の病害防除に関連する研究室へ所属しました。大学院に進学し、さらなる研究活動を行いたいと思いましたが、金銭的に苦しい状態でした。研究に専念したい思いと生活費を稼がなければならないという課題がある中で、報農会の給付型育英費の存在を知り、応募しました。報農会の給付型育英費のおかげで研究に専念することができました。本当に感謝しております

令和5年度育英費受給者    就職先:静岡県庁

学部の途中で父が定年退職となり、家庭の収入は少なくなりましたが研究を続けたいと思い修士に進みました。学部時代にアルバイトをして貯めたお金で授業料と生活費を賄っていたところ、指導教員の先生から報農会の給付型育英制度を教えていただき、申請致しました。
抵抗性誘導を利用した発病抑制について研究しており、専門を活かして多くの人に広く貢献できる仕事をしたいと思い、公務員を目指して就職活動を進めました。育英費を頂いたことで日々の生活に対する不安が小さくなり、研究や就職活動に専念することができました。
四月から県庁に入庁し、病害虫防除所に配属となりました。学生時代に学んだ知識と経験を活かして病害虫の発生予察や防除に努めていきたいです。